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ゴディバと
国立劇場の出会い

日本の伝統芸能を守り、未来へつなぐ使命を持つ独立行政法人日本芸術文化振興会(国立劇場)と、プレミアムチョコレートの世界的ブランドとして、伝統を背負いながら、常に新しい美味しさを開拓し続けるゴディバ。

両者は、互いのより良い未来のためにコラボレーション企画を準備しています。

舞台芸術とチョコレート。日本と西欧。打ち出すパフォーマンスやその背景は異なっても、人々を感動させ、人生を味わいのあるものにしたいという思いに変わりはありません。

この出会いからどんなマリアージュが生まれ、発信ができるのか。
ゴディバ ジャパン株式会社 ジェローム・シュシャン 代表取締役社長と、独立行政法人 日本芸術文化振興会(国立劇場)長谷川眞理子 理事長とがそれぞれの思いを語りました。

長谷川理事長

日本芸術文化振興会(国立劇場)
長谷川眞理子 理事長

大盛況だった
文楽のアメリカ公演

長谷川理事長(以下、長谷川): 今日は国立能楽堂までお越しいただき、ありがとうございます。先日は能楽の鑑賞をご一緒させていただきましたが、実際にご覧になっていかがでしたか?

ジェローム・シュシャン代表取締役社長(以下、シュシャン): 先日はお招きありがとうございました。初めて能と狂言を見て、能については正直、理解するのは難しかったのですが、長い年月をかけてこうした型や動きになったのだと思うと、とても興味深く思いました。

長谷川: 能楽堂という建物の中で、日常生活とはまったくかけ離れた世界に浸ることが大切で、難しく考える必要はないと思います。ぜひこれからもご覧になってくださいね。
私たち日本芸術文化振興会は、能、文楽、歌舞伎など日本の伝統芸能の普及に努めています。その活動の一環として、2024年の秋に、ニューヨークなどアメリカの5都市で国立劇場制作の文楽公演を行いました。今回の公演は、舞台背景にアニメーションを用いるという試みでもあったのですが、アメリカのお客様もみなさんすごく感動されていて、最後のシーンでは泣きそうになったとおっしゃっていました。スタンディングオベーションになった会場も多かったです。

シュシャン: フランスにも人形劇はありますが、それとはまったく異なるものですか?

長谷川: 海外の方は、人形劇と聞くと子ども向けのものと勘違いされることがあるのですが、文楽は1体の人形を3人で動かすので、動きがとても細やかなんです。ストーリーも人間の心の機微がよく描かれていて、大人が鑑賞するものとして洗練されてきた芸能なんです。

シュシャン: 文楽はまだ観たことがないので、ぜひ見てみたいですね。

長谷川: 東京でも公演がありますが、ぜひ大阪の国立文楽劇場でもご覧いただきたいですね。文楽発祥の地は大阪ですから。

シュシャン社長

ゴディバ ジャパン株式会社
代表取締役社長 ジェローム・シュシャン

日本の魅力は
「受け継がれてきた精神性」

長谷川: 先日、京都に行ったときにゴディバのチョコレート生八橋を見つけたので、早速いただいてみました。日本の伝統的なお菓子との組み合わせが、意外にも喧嘩せずにマッチしていて、とてもおいしかったです。お土産用にも買いました。このような組み合わせの発想はどこから出てくるのですか?

シュシャン: お買い上げ、ありがとうございます。(笑)やはり日本のお菓子屋さんとのコラボのアイディアは、私の日本への興味がもとになっていると思います。日本との出会いは、学生時代の旅行で、「禅」に興味をもって福井県の永平寺を訪れたことから始まります。その時にいろいろな出会いがあり、結果的に、いまは日本で仕事をしています。その後、日本の武道である弓道と出会いました。弓道の禅に通じる精神性や方法論に惹かれたのです。

長谷川: 日本の精神性のどのようなところに惹かれましたか?

シュシャン: 古い時代の精神性が残っているところです。型や、そこに宿る精神が、何百年にもわたってずっと変わらずにあることが、日本らしいと感じましたし、そこに惹かれました。西欧は逆です。古い文化をいったん否定するのがアートだと考える。「新しい文化は、古い文化を壊すことから始まる」と信じている。(笑)

長谷川: わかる気がします。私は、日本の伝統芸能などは、理論や方法を積極的に言語化しないで、体で覚えて「身につける」からこそ、精神性を変えることなく継承してこられたのではないかと思っています。他の国にも積極的に言語化しない文化はあると思いますが、日本はその傾向が強いように思います。

シュシャン: フランスではなんでも言語化して、理論で伝えようとします。でも日本に来て弓道の教え方などを見ていても、腕の角度がこう、足の開き方がどうのと言語で伝えてしまうと形だけになってしまう。私は、日本文化は形よりもまず精神から入ることが大事なのではないかと思っています。弓道を学ぶ外国人の中に精神性を重んじる人が多いのは、その精神性が日本の魅力だということに気づいているからではないでしょうか。伝統芸能も同じだと思いますが、伝統を重んじながらいまも生き続けていることが、とても貴重なことだと尊敬します。

対談する2人

ゴディバが
日本文化から学ぶこと

長谷川: 日本の文化や精神から学んだことで、ビジネスに活かせることはありますか?

シュシャン: それはたくさんあります。地方の食材を活かしたお土産品など、具体的な商品のヒントになるものはもちろん、季節でお店のディスプレーを変えること、箱や包装紙へのこだわり、お中元やお歳暮などの贈物の文化など、日本独自の習慣や考え方は、大変勉強になり、ビジネスの参考になりました。

長谷川: 今回のコラボレーションにあたって、日本の伝統芸能からも何か学べるものがあるでしょうか。

シュシャン: 先ほどもお話ししたように、初めて能楽を見せていただき、その装束が見事で、また独特の世界観や緊張感も素晴らしいと思いました。こうした伝統的な美意識や世界観からインスピレーションを得ることは、とても有意義だと思います。

長谷川: 私たちは、歌舞伎にまつわる錦絵など伝統芸能に関する資料を収集、活用するという役割も担っています。それらの資料はアートとしても価値のあるものだと思いますので、パッケージなどに取り入れていただけるとうれしいです。

シュシャン: もともとゴディバはチョコレートというお菓子を宝石のように美しく作ったり、パッケージにこだわって、チョコレートに新しい価値を与えたパイオニアなんです。ですから、今回、このコラボレーションの機会を得て、新しいパッケージデザインや独自の世界観の表現にチャレンジできると思います。私たちは単にチョコレートを売るだけではなく、チョコレートとともに過ごす時間を「幸せな経験」として提供する企業です。その部分で、能楽、文楽、歌舞伎などの日本の伝統芸能と関われるのはとても面白いと思います。

長谷川理事長

グローバル化する
社会の中で

シュシャン: これからはもっとグローバル化が進んでいくと思います。グローバル化で重要な点は、みんなが同じようになることではなく、みんながお互いの文化の価値を認め合えるようになれることです。だからこそ、それぞれが独自の文化の価値に気づき、大切にすることがいっそう重要になるのです。ですが、自分たちの文化をよく知ってもらうために、見る側に合わせてPRや提供の仕方は変えていく必要があると思います。

長谷川: 私もそう思います。コアな部分は変えてはいけないけれど、伝え方は時代や文化に合ったアプローチにしていかないといけない。

シュシャン: そしてこのコアな部分を、広く多くの人に知ってもらうためには、しっかりと言語化して説明しなければいけないと思います。どんなバックグラウンドがあるのか、どうしてこういうことをしているのか、いろいろと説明を加えると、みんな、「あ!そうか」と思うのです。それをしないと、「形」だけが印象に残ってしまって、精神が伝わらなくなります。精神の部分はきちんと言語化して伝え、表面的な理解で終わらせてはいけないと思います。だからもう少しきちんと説明をすることが必要なのではないでしょうか。

長谷川: 世界の人々は日本の伝統芸能をどう見ているのでしょうか。海外の方に魅力を伝えるにはどうしたらよいと考えますか?

シュシャン: 目まぐるしく進化し続ける時代だからこそ、精神的な価値を求める人が増えています。日本文化の持つ独自の精神性をアピールすれば、間違いなく感銘を受け、興味を持つ人はいると思います。日本には、古くから受け継がれてきた芸能があることを世界に向かってもっと強くメッセージしないといけないのではないでしょうか。そのためには本物のパフォーマンスに直接触れる機会を増やすことが、とても大事だと思います。

シュシャン社長

伝統を未来へつなぐため、
私たちは発信する。

長谷川: 今日はいろいろとお話を伺い、とても刺激を受けました。長い歴史の中で今日まで続いてきたの伝統芸能を、次の時代へとつなげるためには、演じる人、観る人、支える人のどれを欠くこともできません。日本の伝統芸能を確実に未来へつなぐためには、若い人材の養成や資料の収集なども大切ですが、皆さまにもっと本物のパフォーマンスを観ていただくことも必要です。ですから、今伺ったような日本文化の素晴らしさを、国内はもちろん、世界に向けて発信することに力を入れたいと思います。

シュシャン: 私たちゴディバは、これまでも日本から多くのことを学んできました。そしてこれからも、日本の伝統的な文化から、さらに多くのことを学びたいと考えていますし、日本の伝統文化を守り、新たな価値を吹き込んで、日本のみならず世界中の人にその魅力を味わってもらうお手伝いをできれば、それは非常にやりがいのあることです。

長谷川: ありがとうございます。とても心強いですし、これからの活動が楽しみです。今日はありがとうございました。

ゴディバと国立劇場は
未来に向かってコラボレーションします。